金木犀の精油の名前は「オスマンサス」~世界三大香木のひとつ金木犀のストーリーとアロマの働き
秋に入ると、どこからともなく漂ってくる甘い香り。
窓を開け放つのも、外を歩くのも、とっても気持ちが良いですね。
その甘い香りの正体は「金木犀」。
ほのかに香りを感じると、「どこに金木犀の木があるのかな?」と、つい辺りを見回して探してしまいます。
金木犀の香りがお好きな方は多いようですね。
お客様からも「金木犀の精油ってあるのですか?」と、この時期よく質問されます。
もちろん!精油の金木犀はありますよ。
金木犀という名前ではなく、「オスマンサス」という名前で販売されていることが多いので分かりづらいですが。。。
というわけで、今日は金木犀について、みていこうと思います。
目次
植物としての金木犀
秋に強い香りを放つ小さなオレンジ色の小花を咲かせる金木犀は、ギリシャ語で「香りのある花」を意味します。
そして、沈丁花(ジンチョウゲ)、梔子(クチナシ)と並ぶ世界三大香木のひとつです。
金木犀は中国広東省、広西省が原産で、中国では「幸せの花」と呼ばれ、繁栄と歓迎の意味を込めて新しく迎える家族から花嫁へ贈られるそうです。日本に伝わったのは江戸時代と言われています。本来は雌雄異株ですが、日本には雄株しか入ってこなかったため、日本の金木犀には種子がつかないのが特徴です。
金木犀は、高さ3~6mくらいの常緑樹で、丈夫で育てやすい上、花も楽しめるので、庭木としても街路樹としても人気があります。
少し寒さに弱いので、日本では、南東北~九州で育てられていることが多いようです。北海道に住む友人が、北海道では見たことがないと言っていました。
生薬・食用としての金木犀
金木犀は、中国では「桂花(ケイカ)」として知られ、漢方の生薬として使用されています。
お腹を温め寒さを散らす「温中散寒」や気の巡りをよくする「理気」があると言われています。
また、花をお酒に漬けて桂花陳酒としたり、お茶に混ぜて桂花茶にしたりと、食用としても楽しまれています。
見た目がとてもかわいいので、普段飲むお茶に散らしたりして身体に取り入れるのも良いですね。
エッセンシャルオイル(精油)としての金木犀
金木犀のエッセンシャルオイルの名前は、「オスマンサス(Osmanthus)」。
「オスマンサス」は、ギリシャ語で「香りのある花」という意味です。
金木犀の花は、漢方では生薬として使用されていますが、エッセンシャルオイルはあまり知られていません。
アロマセラピーの本場であるヨーロッパでは、オスマンサス(金木犀)はなじみが薄いため、香料としての利用は少なく、その流れでエッセンシャルオイルもあまり生産されなかったようです。アロマセラピー関連本にも、「オスマンサス(金木犀)」に関する詳しい情報が、ほぼ記載されていないことからも分かります。
オスマンサス(金木犀)の香りは、とても繊細で抽出し難いため、主に「揮発性有機溶剤抽出法(アブソリュート)」で抽出されます。そして、他のアブソリュート精油同様、価格も高価です。
ヨーロッパでは、金木犀は遠い異国を連想させる香りとして、高価な香水などに使用されています。
どんな香り?
「揮発性有機溶剤抽出法(アブソリュート)」のオスマンサス(金木犀)は、外に漂っている香りに近く、甘い香りです。私たち日本人にはなじみのある香りなので、どこか懐かしく温かさを感じさせてくれます。
エッセンシャルオイルによっては、甘さの中にスパイシーさを感じるものもあります。
機会があれば、メーカーが異なるオスマンサス(金木犀)のエッセンシャルオイルを数種嗅ぎ比べてみるのも楽しいですね!
金木犀というと、トイレを想像する方が多いですね。。。
エッセンシャルオイルを抽出するのは労を要しますが、香料で金木犀の香りの特徴を作るのはとても簡単なんだそうです。それで、トイレの消臭剤として金木犀の香りがメジャーになったのだとか。
エッセンシャルオイルは高くて、気軽に手を出せないのに、トイレの香りと言われるのはなんとも不憫ですね(;^_^A
こんな方におすすめ!
ストレスから解放されたいときに・不安な気持ちで眠れないときに
気持ちを和らげリラックスさせ、温かさを感じさせてくれます。
イライラや緊張、ストレスから解放されたいとき、ぐっすり眠りたいときにおすすめです。
また、胃痛や胃炎、関節炎、便秘などの緩和に役立つとも言われています。
精神的にリラックスすることで、神経性の症状が和らぐのかもしれませんね。
食欲を抑えたい時に
食事の前に香りを嗅ぐことで食欲が抑えられるので、ダイエットをしている方におすすめです。
「金木犀の香りをかぐことで、脳内の摂食中枢が反応し、オレキシンなどの食欲増進物質が抑えられます。同時に満腹中枢への働きが促進されるため、食欲が抑えられると考えています。
今まで満腹になるまでしっかり食べていた人が、そこまで食べなくても自然に満足できるというのが、金木犀の香りの効果です。習慣づけていけば、自然に体重も減っていくのです」
「金木犀の香りを使用した芳香剤や化粧品などを使って、食事前の30分~1時間の間、自分あるいは周囲に香りが漂う状態になっていれば効果的です。実験では、マスクの裏に金木犀の香りを塗布しておきました。そうすることで自然に食べ過ぎを防ぎ、腹八分目程度で満足して食事を終えられると思います」
畿央大学健康科学部 山本隆教授
私も「腹八分目にしよう」と思いながらも、毎回食べ過ぎています。。。金木犀の香りを取り入れて実験してみようと思います!
オスマンサス(金木犀)のおすすめの使い方
アロマランプやアロマディフューザーで香りを楽しむ「芳香浴」がおすすめです。
ディフューザーなどがない場合は、ティッシュでも大丈夫です!その場合は、ティッシュに1~2滴エッセンシャルオイルを垂らし、お部屋や枕元に置いておきましょう。
ダイエット目的の場合は、食事の30分~1時間前に香りが漂う状態にするのが効果的だそうです。マスクの裏側に香りを塗布しておくのも良いですね!
*注意*
ティッシュやマスクなどを使う際は、直置きや直塗りには気を付けてください。
エッセンシャルオイルに色が付いているので他のものに色移りする場合があります。
金木犀(オスマンサス)の精油は溶剤で抽出されたアブソリュートのため、身体には使用せず、香りを楽しむことをお勧めします。身体に塗布したい場合は、侵出油(インフューズドオイル)にして、他の植物油と混ぜたり、クリームを作ったりされると良いです!
金木犀の禁忌・注意点
妊娠中や授乳中の方は使用を避けましょう
データ
名前 | オスマンサス |
学名 | Osmanthus fragrans |
科名 | モクセイ科 |
抽出部位 | 花 |
抽出方法 | 揮発性有機溶剤抽出法・超臨界抽出法 |
ノート | ミドルノート |
香りの強さ | 中 |
香りの特色 | ほんのりスパイシーさを感じる甘い香り |
主な成分 | リナロール・オシメン・リナロールオキシド・α-β-ロノン |
注意すること | 妊娠中や授乳中の方は使用を避けましょう |
まとめ:金木犀の香りでリラックス!
金木犀の香りをふわっと感じると、思わず深呼吸したくなりますね。
金木犀のエッセンシャルオイルは希少で高価ですが、ほんの少しでも存在感があり、しっかり香りが広がります。
どこか懐かしさを感じる温かな香り。
どこかでエッセンシャルオイルを見かけたら、ぜひ一度香りをお試しください。
あなたをそっと懐かしいあの場面へとタイムスリップさせてくれるかもしれません。
金木犀でチンキや浸出油を作って、一年中金木犀の香りを楽しもう!
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*精油(エッセンシャルオイル)を使用する際の注意点*
- 精油は、医薬品ではありません。また、アロマセラピーは医療ではありません。掲載内容を基にアロマセラピーを実践される場合は、自己責任でお願いします。
- 体質などにより、アレルギーやトラブルが起こる場合があります。精油の濃度や禁忌事項に充分注意し、ご自身の体調や体質に合わせてご活用ください。お肌や心身に不調を感じる場合は、速やかに医師の判断を仰いでください。
- 妊娠中の方をはじめ、持病がある方、高齢者の方は使用できない精油があります、また、健康状態に気になることがある方や、医療機関で治療中の方は、必ず医師や専門家に相談の上、安全にお使いください。